理学療法士・作業療法士教員の皆さま、こんにちは! メディックメディア編集部です。

 

さて第59回理学療法士・作業療法士国家試験から、令和6年版の新出題基準が適用されます。

出題基準の大部分は以前と同一ですので、過去問演習が重要であることには変わりませんが、変更点の概略が分かるとご指導において役立つことと思います。

そこで今回は、

をご紹介したいと思います。
※OT受験生の方はこちらのページをご覧ください)

 

令和6年版の出題基準、「共通問題」の主な変更点は?

栄養関連など中心に、新たに項目が追加!

まず栄養関連の項目が、これまで「内部障害と臨床医学」のみに含まれていたところ、「老年期障害と臨床医学」の項目としても追加されました。したがって、

  • 栄養管理
  • 栄養障害
  • サルコペニア
  • フレイル

といった栄養関連のテーマは、今後、老年期と関連した形での出題が増えるかもしれません。

 

ほかに共通問題で新たに追加された項目を見ていきますと、

  • 演繹と帰納
  • 推論
  • 科学的検証
  • 臨床意思決定

といった科学的思考の基盤となる項目や、

 

  • NBM(物語に基づいた医療)
  • CBR(地域包括システム)

など、近年のトピックとなる項目が追加されています。

(なお他にも細かい分類の変更はありますが、本記事では省略しています。)

 

「PT(OT)専門問題」→「共通問題」に追加・移動された項目も

また、これまで(旧出題基準で)「PT専門問題」に含まれていたもの一部が、「共通問題」に追加・移動されています

  • 地域社会
  • 共生社会
  • 多様性社会
  • 自立支援
  • 就労支援
  • 両立支援
  • 心肺蘇生法
  • AED

といった項目は、今後、共通問題としても出題される可能性があります。

 

改めて出題基準に「明記」された項目も

これまでの国試において、(旧)出題基準に記載がないのにもかかわらず、以前から国試に出題されていたテーマがありました。

▲実際の出題例(第57回国試 午後問題93番、『クエスチョン・バンク2024』(共通問題編)P.443より引用)

このように、共通問題の(旧)出題基準に記載がないのにもかかわらず、以前から国試に出題されていたテーマについて、一部が、出題基準に明記されるようになっています。

  • 頭頚部腫瘍
  • 血液腫瘍(白血病・多発性骨髄腫)
  • 転移性腫瘍

これらの腫瘍疾患はより細かい分類となりました。ガイドラインやカリキュラム、臨床に近い形での分類明記になったと考えられます。

 

令和6年版の出題基準、「PT専門問題」の主な変更点は?

PT専門問題で新たに追加されたテーマ

ここからはPT専門問題について、新出題基準の変更点を見ていきます。

 

ひとつは、(共通と同じく)栄養関連が挙げられます。

  • サルコペニア(虚弱予防)
  • フレイル
  • (食事)摂取基準 など

 

また、小児関連のテーマも以下のように変更・追加されています。

  • 早産児
  • 重症心身障害児
  • 発達性協調運動障害
  • 障害児教育
  • 教育原理
  • 教育心理学
  • 教授方法
  • 小児の理学療法(通所施設、児童発達支援施設等)
  • 特別支援教育

出産後~地域での障害児ケアについて、出題が増えていくかもしれません。

 

医療機器についても新たに追加されています。

  • 医療機器
  • 機器の保守点検
  • 機器の配置

 

また「Ⅱ.理学療法管理学」は章ごと新規追加されました。

  • 雇用・年金制度
  • 報酬管理
  • 健康管理
  • 環境管理
  • 理学療法教育の歴史
  • キャリアデザイン
  • 卒後教育
  • 診療報酬

経営側の視点や、ライフデザインを考えたりと、より広い視野が求められている印象です。

 

ハラスメント予防にかかわるテーマも新たに追加されています。

  • 職業倫理
  • 行動規範
  • パワーハラスメント
  • セクシャルハラスメント

などが挙げられます。

 

ほかに、

  • 重症化予防
  • 多疾患併存

も新たに追加されています。複雑な疾患を長いスパンでコントロールしていくことを、設問中で考えさせる可能性もあります。

 

その他、新規に追加された項目をまとめておきます。

Ⅰ.基礎理学療法学
死生観、看取り、NCMRR、医療統計(過誤)、推奨グレード、NBP
(過去に出題あり:自律神経)

Ⅱ.理学療法管理学
医療広告ガイドライン、利害衝突、コンフリクトマネジメント、倫理要綱、ジュネーブ宣言、リスボン宣言、患者の自己決定権

Ⅲ.理学療法評価学 Ⅳ.理学療法治療学
誘発電位、磁気刺激法、3次元動作解析、床反力分析、筋緊張、気分(抑うつ、情動、関心(アパシー))、先天性神経筋疾患(先天性筋ジストロフィー、先天性ミオパチー、筋原線維ミオパチー、先天性筋無力症)、呼吸疾患(肺がん・気胸)のOPE後、大動脈疾患(大動脈瘤、大動脈解離)、弁膜疾患(大動脈弁閉鎖不全、三尖弁閉鎖不全)
(過去に出題あり:X線、CT、MRI、SPECT、PET、超音波エコー、筋電図、障害物回避、階段昇降、走行、跳躍、先天異常(骨形成不全症)、集中治療(救命救急、集中治療・クリティカルケア、モニタリング、人工呼吸器))

Ⅴ.地域理学療法学
地域医療構想、産業理学療法、スポーツ支援、各期での社会参加支援

Ⅵ.臨床実習
(過去に出題あり:転倒予防、感染予防(標準予防策(手指衛生、咳エチケット等)、マスク、防護服、手袋など、感染区域))

 


 

なお、今回は新出題基準の解説ということで、新たに追加された項目を中心に取り上げていきましたが、実は全体を見ると「ガラッと内容が変わった」わけではありません。

出題基準の大半はこれまでと同じ内容であるため、やはり過去問演習を中心に取り組んでいくことが国試対策の基本となります。

 

『クエスチョン・バンク』シリーズは、わかりやすい解説と、豊富なイラストが特徴で、受験生にもっとも支持されている過去問です。

国試本番に向け、ぜひ日々のご指導でご活用くださいませ。

 

  

 

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